2024年8月 卒業生によるエッセイ集 発売!
杢代 絵三子(高35回)
ペンネーム かわい いねこ
白百合学園幼小中高を卒業。
在学中から視力が落ち続け、現在は白杖での生活。
視力を失うことで見えてきたこと。
視覚障碍者にしかわからない日常の不便。
世の中で生き抜くために人の何倍もの努力を積み重ね続ける姿。
スキー、ボクシング、マラソン、水泳をすることで感じる人間関係のいろいろ。
視力を失い、辛く悲しいけれど、この体験を伝えることで障碍者の理解を深めることができればと日々綴ってきたエッセイをまとめたものです。
<本文抜粋>
私が「普通の人」じゃなくなったと思ったのは
白杖を持った時ではなく
障碍者手帳をもらった時。
一生の四分の三くらいは探し物で終わってしまう。
30センチずれていても
手に触れなければ
それはないのと同じだからだ。
先天盲の人はゼロで生まれて
スキルが上がっていくから
達成感を持てる。
中途障碍者は10出来ていたことが
1とか2になってしまう。
おなじ5でも
ゼロから上がってきたか
10から下がってきたかで
感じ方は真逆になる。
不幸だ。
二次方程式は
二つの式が上下に並んでいるのを
目で見て解いていたが
点字では一つ一つの文字しか追えない。
式をいったん全部覚えて
頭の中で並べ直すのだろうか。
郵便物も読めないので代読してもらったり
宅急便の伝票を書いてもらったりしている。
ポスティングされる広報も読めないし
ネットの情報もうまく取得できないから
誰に投票していいかわからない。
移動が大変なので
選挙会場に行くことも難しい。
この本には誤字が多くあります。
このエッセイ集は音声出力ソフトで文字を入力して書かれており、筆者が誤字を見つけるのは難しいことを読者の方々にも感じ取っていただきたく、あえてそのままにしてあることをご理解ください。
<経歴>
杢代 絵三子(高35回)
ペンネーム かわい いねこ
白百合学園高等学校卒業後、獨協大学へ。
卒業後は日本語教師として働くが、視力の低下が進み、とうとう教科書の字が読めなくなり仕事を断念。点字教室で点字の勉強を始める。
点字教室の先生に盲人福祉協会を紹介してもらい、障碍者の就労支援相談に行き、鍼灸を学ぼうと決意。筑波大学付属盲学校に合格し、3年間猛勉強。鍼灸国家資格合格。
現在、企業にてマッサージ師として就労。
中高時代から演劇が好きで、今でも舞台鑑賞に出掛ける。
トークパフォーマンスグループ「こうばこの会」で視覚障害の友人数名やボランティアやスタッフの皆さんと共に活躍中。かれこれ30年になる。
読み聞かせ、出前公演、チャリティ公演だけでなく、バリアフリーな社会作りを目指した社会貢献活動や能登半島地震義援金活動もしている。
また、障碍者の日常を綴ったブログも更新中。
【 note かわいいねこ 】で検索すると見られます。是非お立ち寄りください。
去る2024年10月13日 、北沢タウンホールにて「障害のある人の芸術文化活動について考えるーアクセシビリティと合理的配慮」と題して講演会をいたしました。
(文責・代筆 友人)